From Kenママ 
      To Young
ママ

 

親の会の世話役になってこの1年、何回かこども病院に行ったり、
親の会の会合で、小さい子供さんのお母さんと接触したり、子供たちの様子を見て、
kenが生まれてから28年間の私自身のテーマである食について
改めて考え直す一年となりました。
 昔、Kenは、私が食事の規制をすることでボクはお母さんの奴隷じゃないといって反抗したこともあり、
自分の内面について直接いえないことを「17才の少年 は今悲しみに満ちている」という歌にして
自分の人生を絶望的だといって嘆いたりすることもありました。
特に親子関係が行き詰ったのは、思春期の時でした。
それは、Kenを生んでからというもの、私に息子をかわいいと思う心の余裕が無く、
なんとかしなければという気持ちだけで、思春期までの子育てをしてきました。
ところが、そこに大きな問題点があると、この時期に思えるようになりました。
この頃から私の中で信頼という基盤の元で親子関係を作り直すことが必要だと考えるようになり、
新しく親子関係を築くことを決意しました。
このことが結果としてKenにとっては、私から自分で食事を管理する権利を獲得することになりました。
私の中に芽生えた変化は、息子が食べ過ぎたとき、
昔なら「なんで,食べちゃったの」と食べることに対して叱っていましたが、
このころから、「食べたいのは病気だから仕方ない。普段よく我慢していると思うよ。
だけど、もう少し、自己管理したほうがいいよ。」と
信頼しているということをKenにアピールして注意するようになりました。
 ただ今でも、食事の自己管理をKenに任せるということについては、
本当にこれでよかったのかと疑問を持つこともあります。
 今、小さな子供をもつ親御さんは、私のころに比べて、病院や
親の会でサポートされていることもあり、いろいろな知識について
医者や子育てを終えた親御さんからの意見を聞くことができます。
そういう機会があるので、子供と食のかかわりについての親子関係が
私のころよりもよい関係を築けると思います。
私が、子育て終えた親として皆さん出来るアドバイスとして、
「食事での満足感」と「食欲の満腹感」は違うのだということを、
子育てをするときに意識していただきたいということです。
 この病気は、満腹中枢が故障しているので、量で満足させるのではなく、質で満足させる必要があります。
つまり、私たちも、食べることに喜びを感じるように、子供たちも、食べることに喜びを感じます。
日ごろの食生活を通じて多くの食事の喜びを積むことが、子供の心を育てる上で必要なのだと思います。
親として、子供にいかに楽しい食事をさせるかが、子供の食生活の満足感を育てるのだと思います。
逆に、いつも、食べ物を規制されていることを子供に意識させることは、
子供に見えないところで悪影響を与えていると私は思います。
さらに、食事制限をすることで常に親がイライラして怒っていると、子供は自分の存在を疑問視したり、
否定したりするようになります。そのことは、子供の気持ちに不安定感を芽生えさせ、
ちょっとしたトラブルからも対応の出来ない性格にもつながります。
その他に、学童期の親の問題として、「家のものを盗み食い」、「他人の食べ物を盗み食い」
どちらも同じように「盗み食い」という言葉を使って、注意をしているのが見受けられますが、
本当に悪いのは他人の食べ物を盗み食いしたことです。
家の冷蔵庫から、食べることは、悪いことでありません。
他人のものを盗むことが悪いことであり、その時に親は根気よく子供 に注意し続ける必要があると思います。
家庭の中で守れないと外でのルールが守れないと考えている方も多いようですが、
その考え方は私は間違っていると思います。
あなたが、家族の中で特別なルールをかけられて、それを受け入れられますか?
もし、家庭のなかで病気を持っている子供にだけ特別なルールをかけるのであれば、
家族全体で同じルールに従う必要があります。
親としてすべきことは、食事制限をかけているのだと子供に悟られずに、
食事についての一定のルールを家族の中で考えるべきであると私は思います。
 しかし、このことは、学校生活、社会生活を行っているうえでは不可能に近いことですが・・・
最後に、一年間通して一番思ったことは、つらい食事制限をすることなく、
満足できる楽しい食事がどうしたら出来るのかなということです。
Kenが小さい頃と違い、今の子供たちは同じ境遇をもつ子供たちと触れ合う機会があります。
親の会には、自分たちと同じような苦しみを抱えている仲間がたくさんいます。
親も子も自分たちだけがこの病気と戦っているのだと思うのではなく、
親子が一丸となり、共にこの病気と戦って行きましょう。

                                         2005.夏