あいたくて
工藤直子
 

だれかに あいたくて
なにかに あいたくて
生まれてきた―――
そんな気がするのだけれど

それが だれなのか なになのか
あえるのは いつなのか―――
おつかいの とちゅうで
迷ってしまった子どもみたい
とほうにくれている

それでも 手のなかに
みえないことづけを
にぎりしめているような気がするから
それを手わたさなくちゃ
だから
あいたくて







   


工藤直子さんは独特の詩の世界を持っている方です。
自然界に生きるすべての生き物たちを主役に詩を書いています。
講演会にパネラーとしてみえたときの語り口が忘れられなくて耳に残っています。