「雨ニモマケズ」


                                          宮沢賢治


雨ニモマケズ 風ニモマケズ

雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ丈夫ナカラダヲモチ

欲ハナク 決シテ瞋ラズ イツモシズカニワラッテイル

一日ニ玄米四合ト 味噌ト少シノ野菜ヲタベ

アラユルコトヲ ジブンヲカンジョウニ入レズニ

ヨクミキキシワカリ ソシテワスレズ

野原ノ松ノ林ノ蔭ノ 小サナ萱ブキノ小屋ニイテ

東ニ病気ノコドモアレバ 行ッテ看病シテヤリ

西ニツカレタ母アレバ 行ッテソノ稲ノ束ヲ負イ

南ニ死ニソウナ人アレバ 行ッテコワガラナクテモイイトイイ

北ニケンカヤソショウガアレバツマラナイカラヤメロトイイ

ヒデリノトキハナミダヲナガシ

サムサノナツハオロオロアルキ

ミンナニデクノボートヨバレ

ホメラレモセズ クニモサレズ

ソウイウモノニ ワタシハナリタイ

私が賢治に出会ったのは小学校の頃
「風の又三郎」や結核で病床に伏せる妹が
熱のため、「あめゆじゅとてちてけんじゃ」と
賢治に懇願する詩に感動した。
今、朝の幼児番組「日本語であそぼ」で
毎朝各地の方言でこの詩を読むというのがある。
日本語は面白いと思う。
この詩は法華経に造詣の深かった賢治の
素直な心の欲するところだったのだろう。
読んだあと私はいつも
そういうものにわたしはなれない」なあ思うのである。