|
新川和江
おとことおんなが われなべにとじぶたしきにむすばれて つぎのひからはやぬかみそくさく なっていくのはいやなのです
あなたがしゅろうのかねであるなら わたくしはそのひびきでありたい あなたがうたのひとふしであるなら
わたくしはそのついくでありたい
あなたがいっこのれもんであるなら わたくしはかがみのなかのれもん
そのようにあなたとしずかにむかいあいたい
たましいのせかいでは わたくしもあなたもえいえんのわらべで
そうしたおままごともゆるされてあるでしょう
しめったふとんのにおいのする まぶたのようにおもたくひさしのたれさがる
ひとつやねのしたにすめないからといって なにをかなしむひつようがありましょう
ごらんなさいだいりびなのように
わたくしたちがならんですわったござのうえ そこだけあかるくくれなずんで
たえまなくさくらのはなびらがちりかかる
| |