高田敏子
ながい年月お台所をしてきました 刻むことも 焼くことも お掃除も せんたくも みんな馴れて順序よく
目をつぶってもできるように なってしまいました
毎日何かしらん娘にも教えます セーターの洗い方
揚げものの火かげん そして ときに ふっとさびしくなるのです みんな知ってしまったさびしさ みんな知ってしまった年月
みんな知ってしまった私の手と 娘の 美しい手
いつくしんで育てた娘もやがてこの手の中から羽ばたく時がやってくる・・・ 母が主婦として娘に伝えることもあらかた終わるころ
一抹の寂しさを感じる・・・
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