わだかまり
                           三谷恵子
 

わだかまりは
氷に似ている と思う
誰かを ほんの少し疑うと
心の縁から こおりはじめて
考えるほど中心へ向かう

ピシッと とざされると 心は冷凍
それが
ほんの少し 考え直すと
まわりが解けて 縁を離れる

気にかかるから
心の中を あてどころなく動いていて
解かそうと やっ気になっても
カラカラ カラカラ 浮いている

それが ある時
案外 自然に 不思議と 自然に
解けていることがある




詩人ってすごい。
こんな重い言葉をすんなりと心に
届けてくれる。